キハ40系といえば国鉄気動車としても、そして現在では観光列車として有名ですよね。
ざっと思い浮かぶだけでもJR九州「ふたつ星4047」、JR西「SAKU美SAKU楽」、JR北海道「山紫水明」。ちょっと古めですがJR東「きらきらみちのく」なども。
1977年登場でいまだ現役、しかも生産数は888両！ということからも、いかに成功した車両かわかるでしょうか。
で、このキハ40。基本は朱色の首都圏色で、いわゆるタラコと呼ばれる単色塗りでした。その後は様々な塗装に変更されました。JR移行後はもっとカラフルで多彩に。
国鉄 キハ40形 首都圏色
でも実は、というか面白いことに。
国鉄時代には皆さんが思い浮かべるクリームと朱色の「国鉄色」になったことは無いんです。
試験塗装とかあった可能性もありますけども（もしあれば教えてくださいね）、基本的には朱色一色からJR各社の塗装になったり、あるいは路線ごとの独自のペイント列車になったことで、いわゆる「国鉄一般気動車色」という塗り分けにはならなかったんですよね。
そもそも時代は巨額債務で叩かれまくっていた国鉄末期。
少しでもコスト削減をと叫ばれていた時代ですので、あえて塗装コストが掛かる2色の塗り分けにすることは無かったんだと思います。
というわけで存在しなかった塗り分けがなんですが、いよいよ廃車が見えてきた2010年頃から各地で増えていると考えれば、なんとも面白いとは思いませんか？
ただ実在しなかった色ということで一部の鉄道ファンの間では（復刻色のように扱う風潮とか）賛否両論だったようです。個人的にはアリではないかなーと思っていますが。
各社の違い
で、存在しなかった国鉄色の何が正解かというのは無いんですが、各社とも工夫をこらして説得力ある仕上がりとなっています。種車も異なりますので絶妙に違いが生まれるようになりました。
JR北海道 キハ40形 国鉄気動車色
JR北海道は2021年に登場。1700番代ですので窓の形状などが他社とは大きく違うのが特徴です。
塗り分けは上の赤帯が水平でやや太め。
国鉄が開発した一般型気動車です。2021年に登場した国鉄リバイバル復刻の一つで、キハ20形などをモチーフにした一般気動車色となりました。
JR東日本 キハ40形 烏山線 福禄寿
烏山線は2010年登場。七福神のステッカーが掲出されているのが特徴です。
塗り分けは乗務員窓を避けるような切り欠きがあります。
国鉄が開発した一般型気動車で、全国の非電化路線に投入されました。烏山線は縁起の良い駅名が多いことから七福神をモチーフにしたデザインのマークや駅名標が整備されています。
JR東海 キハ40形 国鉄気動車色
2010～2011年に6309などが国鉄色に。
塗り分けパターンはJR東形式。
国鉄が開発した一般型気動車で、全国の非電化路線に投入されました。2011年には名古屋地区のキハ40形が国鉄気動車色へ塗装変更されました。
JR西日本 キハ40形 「ノスタルジー」
JR西日本はキハ48などとともに「みまさかスローライフ列車」「ノスタルジー」向けに塗装変更されました。2017年から。
塗り分けは赤帯部分がやや太めで水平。大型クーラー1基が搭載されています。
国鉄が開発した一般型気動車で、全国の非電化路線に投入されました。2017年に登場した岡山支社の「みまさかスローライフ列車」向けの国鉄復刻塗装車です。「ノスタルジー」号として様々なイベントで運用されています。
JR四国 キハ40形 国鉄気動車色
残念ながら2024年5月時点では実在せず。
JR九州 キハ40形 国鉄気動車色
一番新しいJR九州車。連結幌枠が黒？
あとベース車の関係でスノープロウが無し。
国鉄が開発した一般型気動車で、全国の非電化路線に投入されました。2024年3月には小倉車両センター所属のキハ40が国鉄気動車色へ塗装変更されました。
まとめ
並べてみるとそれがこうやって令和の時代になって復刻色的な扱いで各社で登場するのはなんだか面白いものです。キハ40国鉄復刻色というよりもキハ40新塗装って方が正しい感じ。
懐かしくて新しい、というとどこかで聞いたキャッチコピーみたいですけれども、確かにノスタルジーを感じつつも「国鉄っぽさ」をうまく表現できていると考えれば、このキハ40国鉄気動車色、これまた成功事例と言えるんではないでしょうか。
余談ですが横須賀色風の試験塗装はありました
国鉄 キハ40形 長崎機関区試験塗装
国鉄が製造した気動車です。1982年には長崎機関区の車両がクリーム色1号と青20号の試験塗装が行われました。同じカラーリングのキハ58とともに長崎線、佐世保線などで短期間だけ運用されました。
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