イラストを描くためのパソコンやスマホの周辺機器を販売しているGAOMONさんからモニターとして板タブレットをお借りしました。
早速ですが使い倒してレビューしていきたいと思います。
ちなみにペパるネットはいわゆる本職のイラストレーターではありません。あくまでペーパークラフト作家ですので純粋に絵を描く技術は一般レベルくらいとなります。今まさに絵を頑張っている、または興味がある人と同じ目線でのレビューとなります。
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そもそもペンタブレットとは
簡単に言えば薄い板にペンに反応するタッチパネルが仕込まれた周辺機器です。ペンタブ、板タブと呼ばれています。
タブレットと言っても大きな液晶があってアプリが動くスマホの大きいモノ……ではなく、マウスの代わりにパソコンの操作を行う周辺機器となります。ですのでペンタブレット単独では使えず、WindowsやMacパソコンやスマホ(M1220はAndroidのみ)に繋げて使う機械になります。
ペンタブは筆圧で先の太さや濃さが自由自在(ソフト側で対応していること)、そしてマウスと違って繊細な動きができる点で特にデジタルお絵かきをするには必須とも言えるアイテムとなっています。
ちなみにこのペンタブ。操作中はペンではなくモニター画面を見ながら操作します。画面をタッチして直接操作するのではないので慣れが必要ですが、
- 真下を向いて作業しないので首に優しい
- 熱くならない(液晶モニターは実は熱い)
- 手で画面が隠れない
といった大きなメリットがあります。
さっそくM1220開封、付属品はいっぱい
ペンタブレットのM1220を開封。
付属品はいっぱいです。使うものはほぼ全部入ってると言っても良いでしょうか。
保護シートもあり、また替え芯もタップリと入っています。買い足しなど不要で長期間に渡って使い続けられるようになっています。
付属するのはペンケース、替芯、スマホ用の接続アダプタ(Android用。iPhoneは非対応)、接続ケーブル、専用ペン、収納袋、マウスパッド、保護シート、手袋。
こちらはAndroidスマホでM1220を使う場合に必要となるアダプターです。マイクロUSBとUSB-Cそれぞれに変換可能。
こういった変換アダプターは別に購入する必要があったりする事が多いんですが、このM1220については初期付属しているので結構嬉しいもの。
ちなみに変換アダプタ、汎用パーツですので、例えばUSBメモリやSDカードリーダーをAndroidスマホで読み込みたい…という場合にも使えます。
マウスパッド付属!
個人的に「おお!いいな!」と思ったのがこれ。
ペンタブレットの上に置いて使うマウスパッドです。表面にはAdobeのPhotoShopのショートカットキーの一覧もあります。
基本的なショートカットは別のソフトでも共通なことが多く、仮にPhotoshopを持っていなかったとしても参考にはなるかもしれませんね。
ちなみにペンタブって机の上に出しっぱなしになってしまうもの……。もちろん片付ければいいんですが、案外と面倒になっちゃって。
で、その辺のコピー用紙なんかを乗せて簡易マウスパッド代わりに使ったりとか良くある事なんですけれども。
付属のマウスパッドを使えば片付けることなくそのままマウスが使えます。
しかも厚みが結構しっかりしており、付属品とは思えないクオリティ。ペンタブと同じ大きさなののもいいですね。マウスの操作感も良好。
後述しますが、そのおかげでペンタブレットではなく多機能マウスパッドとしても使えるようになります。
ペンは太めで持ちやすい
一番上がマジックペン。いわゆる普通の水性ペンです。つまりアナログ画材。
真ん中がGAOMON M1220のペン。滑り止めのラバーコーティングあり。お尻の消しゴムは無し。
一番下がXP-PenのArtist12のペン。
M1220のペンはアナログ画材的なサイズやデザインになっており、かなり持ちやすいと思いました。滑り止めのラバーが良い感じにホールドできます。
ちなみに側面スイッチは2つ。初期設定では右クリックとE(消しゴム機能)が割り当てられています。もちろん「使用しない」ことも可能。握り直した時に不意に押してしまうことも多いので好みによって設定しましょう。
設定については後述しますが公式ドライバーアプリが必要となります。
ペン性能は一級品
性能は傾き検知あり、筆圧8192階調とプロレベル。
特に階調が多いということは力加減によって滑らかでバリエーション豊かな線が引けるということ。まさにアナログ画材に近いものと言えるでしょうか。
後述しますがペーパークラフト作成へ早速投入しています。傾き検知については描く題材の関係で恩恵は少ないものの、筆圧の追随性の良さはこれは描いていて楽しいと感じました。
子どもが言うには「筆だ!」
まさにそのイメージ。
本体サイズはA4用紙くらい
本体サイズはA4用紙より少し大きいサイズです。イメージとしてはA4バインダーというような感じでしょうか。
一方、描画エリアは点々の模様がある25.5センチ×16センチという範囲。B5用紙と同じくらい。
そしてこれは最後の評価につながってくるのですが、これが丁度いいのですよね。邪魔にならなくて、そして小さすぎない丁度いいサイズ。
ちなみに表面は硬質・平滑。書き味はツルツルした感じです。摩擦は少なめ。
保護シートも同様に滑りやすい素材です。デザインはかなり派手なので好みが分かれそう……
両面テープ貼付けタイプです。
ちなみに「紙で描くような摩擦が欲しい!」という場合ですが、ペーパーライクフィルムという専用シートを貼る、もしくは紙そのものを貼りつけるという小技がよく知られています。
好みによって工夫してみても良いかもしれませんね。
余談:大きいほうが良いの?
ペンタブレットの購入相談で必ずと言っていいほど話題になるのが「サイズの選び方」。
大きいキャンバスに伸び伸び描きたいから大きいほうが良いのではないか、と思ってしまうのですが……
実はペンタブレットで描く場合には必ずしも大きいことが良いというわけではないのです。この辺りは道具を色々と試してみて、一番自分に合ったものを探すしかありません。
ちなみに私、過去にA3サイズのペンタブレットを持っていました。タブレットと言うか巨大石版というようなシロモノでしたが…。手首と指先だけで描く癖があるのでA3サイズなんていらなかったんですよね。むしろ腕の移動量が増えて疲れてしまう結果に。
M1220の描画面積がB5サイズというのは学校で使うノートやルーズリーフと同じ。と考えれば何かを描くには丁度いいサイズとも言えます。本体もA4サイズですので書類立てや引き出しに入れておくこともできますし、カバンに入れて持ち運びも苦ではありません。
パソコンで使ってみた
パソコンなら最初にドライバーインストール
M1220の全ての機能を使うには公式サイトからドライバーアプリをインストールしないといけません。WIndows用、Mac用とありますので必要な方を選択します。
インストールについては特に詰まることなく進められるとは思います。
公式サイト:GAOMON M1220ペンタブレット|ドライバー
他社製品との競合ですけれども、私の環境ではXp-Pen社の設定アプリとの衝突はなく同時に使用可能でした。ただ念のため、使用しない側の設定アプリは終了しておいた方が良いかもしれません。
ドライバーアプリでサイドボタンを設定可能
インストールが終えたら設定アプリが長中するようになります。設定はタスクバーのアイコンから。
この設定アプリ上でペンのサイドボタンやペンタブレット左側のショートカットキーの設定が出来ます。
初期設定では左側のボタンにはブラシ、消しゴム、やり直し、ズームなど基本的なものが割り振られています。必要に応じて設定を入れ替えましょう。
また筆圧の調整や複数モニター使用時の割当もこの設定アプリで行います。
一方、上面のタッチスイッチ(マルチメディアバー)とホイールについては設定変更が見当たらず。マニュアルでも記載がないのでここは固定なのかもしれません。
パソコンでショートカットキーの使い勝手は
左側にはボタンが8個とホイールが1個。上面には13個のタッチボタンがズラリと並んでいます。
左側ショートカットキーは便利
左側に並ぶ8個のボタンは物理スイッチ。キーストロークはほとんど無いものの、指を乗せるとカチッとしたクリック音がするので「押した」という感覚がしっかりあります。
この8個のボタンは設定アプリで割当の変更が可能です。アプリに応じて自動的に切り替わるのが便利。
もちろんそのままでもブラシ、消しゴム、もとに戻す、ズームなど基本的な設定が用意されています。
特にもとに戻す(Ctrl+z)は間違った線や塗りを元に戻す、無かったことにできるという機能です。デジタルお絵かきでは多用というか乱用レベルに押しまくるショートカットキーなので、空いた手ですぐ届く場所にあるのはとても便利。
8個ボタンがありますので基本的な操作はほぼ網羅できるはず。
というかあまりに多いと「このキーなんだったっけ?」となりそう(というか私はなる)。
ホイールは好みが分かれるかも
ホイール部分の真中のボタンはパソコンなどに接続するとほんのりと光ります。またホイールに触れると少し増光します。
眩しくないので作業の邪魔にはなりません。
気になっていたホイール機能はソフトによって中身が変わるという親切設計。
例えばIllustratorでしたらズーム、スクロール、アートボードの移動、オブジェクトの重ね合わせなどが使えるようになります。中央の光っている部分が機能の切替えとなります。
任意のショートカットキーをダイヤルに割り振ることは出来ないようです。設定方法についてはマニュアルに記載なし。
例えばカーソルキーを割り振って、動画編集ソフトでの再生位置の操作に使えるのかな…とか思いましたがそこは無理な模様。
基本機能の「ボリューム、スクロール(上下)、ズーム、元に戻す」の4つについては登録されていないソフトでも表示されますが……ソフトによっては別の挙動になったりします。
スクロールがズームになったりとか。
ホイール部分についてはあくまでも対応ソフト(主要なイラスト系ソフトはほぼ対応)を使っていて、それを更に便利にするハードウェアという位置づけなのかもしれませんね。
上部のマルチメディアバーは凄く便利
上部に並ぶメニューボタン。マニュアルによればマルチメディアバーと言うようです。
こちらはWindows全般を扱うための機能が揃っています。
デスクトップやウィンドウの操作(ウィンドウのサムネイル表示、アクティブウィンドウの切り替え、タスクマネージャ起動、デスクトップ表示……などなど)、メディアプレイヤー(音楽や映像視聴アプリの再生・停止・次の曲・前の曲・音量調整)の操作が出来るようになっています。youtube操作についてはWindows10とChromeで確認。
例えばお絵かき中でも次の曲(動画)に移動する、音量を操作するといったことが出来るようになっています。まさに作業BGMのための機能でしょうか。
そうそう、ペンで押しても全く反応なかったので???となりましたが、指でタッチすることで無事に操作できました。
古いペンタブでは上部にペンで押すタイプのファンクションキーが並んでいたんですよね。ふと思い出しました。
スマホとタブレットで使ってみた
スマホでも描ける
付属のケーブルとアダプターを使うことでAndroidスマホやタブレットでもM1220が使えるようになります。
iPhoneやiPadには非対応。
お絵かきアプリを…ということで定番のメディバンペイントを使用。
そうそう、スマホで使う場合はこの左側のエリアだけになります。スマホの縦長画面に合わせたものですね。
スマホとタブレットの配置というか置き方に悩みますが、ケーブルが柔軟ですのである程度の自由度はあります。
軽くて手軽ですので外出先……例えばカフェなどでさっと取り出して繋いで、イラスト描いたり修正したり、手書きで書類にコメント入れるような作業にも使えるはずです。
Amazon Fireキッズタブレットでも使える
そして子供どもが使う上で気になっていたのがここ。アマゾンのキッズタブレットで使えるのか?というところ。
Fireタブレットは通常のAndoroidタブレットとは少し異なっており、アプリもGoogleではなくAmazonのアプリストアを利用する必要があります。
でもキッズタブレットはスポンジ状の保護カバーもあって頑丈であること、そしてペアレンタルコントロールも充実しているので子供が使うには最適なんですよね。
で、早速つないでみたところ特に設定も不要で使えるように成りました。今回もアプリはメディバンペイントを使用。
筆圧対応になるかはアプリ側次第ですが、他のお絵かきアプリでも同様に使えるとは思います。
メディバンペイントは設定で筆圧機能も使えます。これは凄く良いです。
ただ横置きだと表示エリアと描画エリアがズレます。縦置き必須。
子どもでも扱える簡単さ
早速娘に渡してみました。描きやすくてすごく楽しいようです。
手元を見ずに描くのは難しいんじゃないか、投げ出すんじゃないかと思いましたが……子どもの柔軟性をもってすれば全く心配する必要なかったようです。
そうそう、ホイールを使った「元に戻す(Ctrl+z)」「やりなおし(Ctrl+y)」が直感的でそこはすごく気に入ったようです。というかホイールを回すと描いた線が消えたり表示されたりするので、いわゆるアニメーション的なものが作れるんじゃないかとひらめいた模様。
ちなみにこのキッズタブレットを使う利点がもう一つありまして
そう、パレットを指で操作するんです。
色やツールの変更は指で行い、ペンは描くだけに専念するという非常に単純で直感的な操作が可能となります。これ、大人でもかなり使える方法なんじゃないか?と思えました。
もちろん普通のFireタブレットでも使える
キッズタブレットと言っても特別なものではなく、中身は普通おFireタブレットです。違うのは知育ソフトウェアが入ってるとか、厳重なペアレンタルコントロールが出来るという点だけ。
言い換えればハードウェアが同じ普通のFireタブレットでもこのM1220は使えるということになります。
早速、ペーパークラフトの模様(ラッピング)作成に投入
ペーパークラフトの車体部分は直線的でどちらかと言えばCAD的(設計図面的)な操作が多いのでマウス操作が大半となりますが、一方でラッピング電車(特に最近のキレイなもの)はマウスで書くにはやや荷が重いというか、時間が掛かりすぎてしまいます。
そういう場合にはこういったペンタブレットを併用することで、負担なく制作を進めることが出来るようになります。
かわせみ・やませみ
例えばこれ。M1220で描いてみたカワセミ。
JR九州の観光列車「かわせみ・やませみ」のための素材ですね。これをマウスだけで描くとなると非常に腕が疲れます。
ペンタブレットでしたら暗色系でザッとベタ塗りし、その後で明るい部分を上から乗せていくと短時間で仕上げることができます。ペーパークラフト用のラッピング素材でしたら十分です。
というわけで複雑なラッピングのジョイフルトレインもペンタブを使う事で比較的に短期間で仕上げることが出来ました。
京急 Le Ciel
昨日公開された京急1000系1890番代。側面には列車愛称の「Le Ciel」のロゴが描かれるようです。
こういった筆文字ロゴはまさにペンタブレットの本領発揮の分野です。
ペイントソフトで筆圧を駆使してザッと描く→Illustratorでパスに変換することで短時間で出来上がります。このペーパークラフト用素材でだいたい20分くらい。
少し文字がプルプルしてるのはご愛嬌。
JR東 189系「モモずきん」
また「モモずきん」などイラスト風も簡単に描けます。
JR東の189系でみられた「モモずきん」のラッピング用に。こういったイラスト風の図案でしたらIllustrator上で直接描いてしまうのもありです。
筆圧関係なくペンツールで形状を描いていくだけ。マウスではガタガタになりそうですがペンタブレットではスムーズな曲線が引けます。
ペイントソフトではウェザリング(汚し加工)なども出来る
当サイトで公開している展開図ファイル。PDF形式なのでそのままでは加工が難しいところがあるんですが……
スマホやパソコンに標準搭載されているスクリーンキャプチャ機能を使う事で不通の画像ファイルにすることが出来るんですね。
で、撮った画像をペイントソフトなどで読み込み、ペンタブレット等でちょこっと加工していくことでご覧の通りに「汚し加工」が出来るようになります。
また同様に着雪表現も可能に。鉄道模型ではここまでガッツリとやるのはなかなか勇気が必要ですが、ペーパークラフトならいくらでも替えが効きますので練習にもいいかも。
ただ、こういった操作はマウスでは難しいので繊細な筆圧機能があるペンタブレットが欲しくなります。
総合的な評価は?
あくまで「お絵描きのため」の周辺機器ですので、常にイラストを描く人でなければ持て余しがちになってしまう事が多いペンタブレット。
でもM1220であればペンタブレットとしてだけでなく、扱いやすさと付加機能を使うことで普段から使い倒すことが出来るという強みがあります。
まずは気軽に使えるペンタブとして
やはりその手軽さが一番でしょうか。軽さと薄さ、ちょうどいい大きさを活かして出先でスマホアプリを使ってサッと描くようなことも簡単にできるという強みがあります。イラストだけではなく、現場写真やPDFファイルに手書きで注釈入れていくような使い方も想定できます。
しかもペンタブレットは消費電力の少ない入力機器。バッテリーへの負担が少ないという利点もあります。
もちろんイラスト用途としても十分すぎるほどのポテンシャルを持っているわけで。
高機能マウスパッドとしても
またイラスト分野だけではなく、たくさんあるショートカットボタンと付属のマウスパッドを有効利用することで高機能なマウスパッドにもなるんです。
例えばデスクトップの表示や画面のロックキーは普段良く使う機能ですし、メディア操作キーはウィンドウ切替不要でYoutube再生を操作できるというのも便利。
フルスクリーンになるゲームでも(プレイ中に)音量を調整・消音操作することも可能。パソコンによってはキーボード側に音量調整の機能がなかったりしますしね。
そして設定できるショートカットキーはOfficeソフトですとか、もっと言えばゲームで使うショートカットを割り振ることも可能です。ペンではなく指先で操作できるのでマウスやコントローラの操作中でもすぐに押せるのが非常に良いポイントだと思います。
つまり万能アイテムとして
到着してからずっと使い倒しています。
こんな事書くと怒られそうですが、イラストだけに使うには勿体ない万能アイテムなんです。このM1220って。
卓上へ常備しておいて、
記事の執筆や事務作業でショートカットキー付きマウスパッドとして。
写真やPDFへの書き込みでは筆圧不要なペンデバイスとして。
イラストやお絵描きならばプロレベルの8192階調という繊細さを持つペンタブレットとして。
そしてオフのときはゲームをちょっと便利にするサブコントローラに。
と本当に色々使えます。
あとここで活きてくるのがA4サイズという絶妙な大きさ。机の上に置いても邪魔になりにくく、そしてマウスパッドとしても小さすぎず。ちょうどいい具合。
価格は7~8千円くらいとペンタブレットとして見ればやや高級機となるかもしれませんが、常備できる便利ツール・万能アイテムと考えれば非常にいい選択肢となるのではないかな、と思います。
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