安中貨物、長い歴史に幕――東邦亜鉛の事業再編で運行終了[2025/3/25]

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安中貨物、長い歴史に幕――東邦亜鉛の事業再編で運行終了

群馬県安中市にある東邦亜鉛の安中製錬所が、2025年3月末をもって主要設備を停止することを受け、同製錬所と福島県いわき市の小名浜製錬所を結ぶ貨物列車「安中貨物」が運行を終了します。

この列車は半世紀以上にわたって亜鉛焼鉱などの輸送を担ってきましたが、事業再編の一環としてその役目を終えることに。

東邦亜鉛(東京都港区)は23日、来年3月末までに亜鉛製錬事業の主力工場、安中製錬所(群馬県安中市)の主要設備を停止する事業再生計画に関しオンラインで説明会を開き、亜鉛をリサイクルする新事業で、年間3万トンの処理能力がある溶融炉設備を新設する方針を示した。同製錬所と小名浜製錬所(福島県)を結ぶ貨物列車については、活用を検討することを明らかにした。
上毛新聞より

 

安中貨物とは

鉄道ファンでないとなかなか馴染みのない名前だと思うんですが、
「安中貨物」とは、東邦亜鉛が日本貨物鉄道(JR貨物)に委託して運行していた貨物列車の通称です。
信越本線安中駅から、高崎線や常磐線を経由して福島臨海鉄道の小名浜駅までを結び、亜鉛焼鉱や硫酸などを輸送していました。使用車両はEH500形電気機関車(通称「金太郎」)とタキ1200形専用タンク車で構成され、日曜・祝日を除く1日1往復の定期運行が行われていました。

この列車は、1960年代後半から運行が開始され、国鉄時代から続く歴史ある輸送手段でした。鉄道ファンの間では「東邦号」や「安中号」とも呼ばれ親しまれてきました。

JR貨物 EH500形試作車 「ECO-POWER金太郎」

アイキャッチ画像"作例画像'

1997年に製造されたJR貨物の三電源方式の電気機関車です。2車体連接構造となっています。量産車と異なり車体側面のルーバーは小型、また採光窓の数も多くなっています。8軸のハイパワー機関車で定格出力は4000kwにも及びます。

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安中運輸 25tスイッチャー

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群馬県安中市の東邦亜鉛・安中精錬所の輸送のための機関車です。1972年に導入された日車製の25トン機です。

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安中運輸 DD35形

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群馬県安中市の東邦亜鉛・安中精錬所の輸送を行っていた機関車です。前後の角のように飛び出たヘッドライトが特徴的です。

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運行終了の背景

安中製錬所は1937年に設立され、東邦亜鉛の創業地として長い歴史を持つ施設です。
しかし近年、市況変動やエネルギー価格高騰、事業採算性の悪化などが重なり、主要設備停止が決定されました。この決定により、小名浜製錬所から安中製錬所への鉱石輸送が不要となり、「安中貨物」の運行終了が避けられなくなりました。

2025年3月15日のダイヤ改正をもって定期運行が終了し、その後は臨時列車として数日間運行されましたが、3月25日には完全に終了しました。

 

気になる今後は

東邦亜鉛は事業再編計画の一環として、新たに環境ダストリサイクル用の溶融炉設備を安中製錬所跡地に導入し、リサイクル事業へ転換する方針を示しています。

東邦亜鉛 24年度末までに亜鉛製錬から撤退 二次亜鉛原料などに注力――阪和と業務提携 | MIRU
2024/12/18 18:59:  東邦亜鉛が安中製錬所(群馬県安中市)の亜鉛製錬の一部ラインを2024年度末までに停止、環境ダストリサイクルの熔融設備に切り替える計画であることが18日わかった。小名浜製錬所の亜鉛焙炒炉と付随する硫酸工程も停止する。同日の発表資料などで、その方針を示した。亜鉛事業を対象に最大160人の希望退職も募る。また、同日には阪和興業と国内外における鉛・銀製品の拡販、鉱石・...

また、小名浜製錬所との間で貨物列車を活用する可能性についても検討されていますが、その具体的な計画は未定です。

半世紀以上にわたり地域産業と鉄道輸送を支えてきた「安中貨物」。その終焉は一つの時代の区切りとなると同時に、新たな挑戦への第一歩でもあります。

 

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