先日にJR東海のプレスリリースで驚いた人は多かったと思うんですが、なんと新しいハイブリッド気動車の導入が発表されたんですよね。
JR東海プレスリリース:https://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000044528.pdf
ハイブリッド気動車としては国内最速
この車両、在来線普通車両として初のハイブリッド方式を採用した新形式車両となっています。形式名は「HC35形」。

JR東海のHC35、早速立体化してみた。
※プレスリリースのイメージをモチーフにしてるので実写とは異なります pic.twitter.com/osTbm6L5MP
— ペパるネット電車図鑑 (@pepar_net) September 11, 2025
快速「みえ」や高山本線・太多線で活躍しているキハ75形気動車の後継車として開発されており、2028年度から2029年度にかけて順次導入される予定であるとのこと。

キハ75形
HC35形の最大の特徴は、最高速度120km/hを誇ることで、これはハイブリッド方式の車両としては国内最速となります。
いや、「最速のハイブリッド気動車」という称号であれば、JR北海道のキハ285形も思い浮かぶわけなんですけれども、こちらは開発中止になっちゃって。

キハ285形
実現してれば時速140km/h運転も夢ではなかった(夢で終わった)ですが。
もし営業運転に導入された世界線ならどうなってたんでしょうか。
従来車両との違い
ハイブリッドシステム
HC35形のハイブリッドシステムは、ディーゼルエンジンで発電した電力とバッテリーに蓄えた電力を併用し、モーターで走行する「電気式ハイブリッド方式」となっています。
いわゆる変速機を省略できることから駆動部分を簡素化できるというメリットがあるんですよね。あとバッテリーを使うことで「エンジン効率が良い回転数を維持」したまま運転できるようになるんですね。
この技術により、従来のキハ75形と比較して燃費は約35%向上するとされています。
(燃費が良くなるということは、同時に環境負荷も大幅に低減されるということに)
冷房能力の向上、防犯カメラ設置など
プレスリリースによれば、冷房能力がキハ75形に比べて約16%向上させているとのこと。特に近年は夏の暑さが深刻というか、健康被害が起きそうなレベルですからね。
混雑時でもしっかり涼しくなるのであれば乗客としても嬉しい部分ではないでしょうか。
あと、昨今の列車内での事件の続発を受けて、各車両の5箇所には防犯カメラなどが設置されます。
運用路線と導入計画
HC35形は2両編成19本(合計38両)が導入される予定で、以下の区間で運用されます。
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名古屋~伊勢市・鳥羽間(快速「みえ」など)
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岐阜~下呂間(高山本線)
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美濃太田~多治見間(太多線)
また路線によって座席配置の変更されており、
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快速「みえ」用車両:1両が転換クロスシート、1両がロングシート
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高山本線・太多線用車両:2両ともロングシート
という違いが。この変更により、快速「みえ」では指定席車両(クロスシート)と自由席車両(ロングシート)の役割分担が明確化される可能性があります。
現行車両の処遇は??

キハ75形
気になるのがキハ75形の今後。
現在活躍中のキハ75形は、1993年から1999年にかけて製造された気動車で、製造からすでに約30年が経過……。更新時期を迎えておりまして、HC35形の投入により、これらの車両は順次引退する予定です。
ただ車齢30年とはいえ、まだまだ走れるのは確か。地方私鉄への譲渡の可能性もあります。
ただ、片運転台で3ドア車なんですよね……。動力性能もある意味でオーバースペック気味。
適任となる他の路線はあるかというと難しそうです。
今後の鉄道の布石となる?
高性能なハイブリッド式のHC35形の登場、今後の日本の非電化路線のあり方とまで拡大してみれば、なかなか面白いニュースではないかなと思ったりします。
従来はハイブリッド式気動車といえば「環境性能は良いけども、それ以外はちょっと……」という位置づけだったわけです。一般型気動車に比べるとまだまだ追いついていないみたいな。
それがようやく技術的にも追いついたHC85形があり、そのデータを元にHC35も出てきて。
データが蓄積されていけば、他のJR各社の非電化路線の車両更新の際には、ハイブリッド気動車が選択されるようになるかもしれませんね。




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