JR新山口駅 貨物列車脱線事故(2024年7月24日発生)のまとめ

2024年7月24日に起きたEF210形機関車による脱線事故。

単なる脱線……ではなく、どうやら車軸の折損という大きなアクシデントであるということが明らかになりました。折れた原因などはこれから究明されるはずですが、すでに全車点検が行われるなど再発防止策が進められています。

 

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JR新山口駅構内貨物列車脱線事故(2024年7月24日発生)

2024年7月24日に発生した山陽線新山口駅構内の貨物列車脱線事故について、以下に詳細をまとめます。

事故概要

    • 発生日時: 2024年7月24日(水)12時32分頃
    • 発生場所: 山陽線 新山口駅構内
    • 関係列車: 福岡貨物ターミナル駅発、東京貨物ターミナル駅行の第2054列車
    • 列車編成: 電気機関車1両(EF210形314号機)、コンテナ貨車23両
    • 脱線車両: 電気機関車1両(EF210形314号機)

事故の詳細

24日正午過ぎ、新山口駅構内で福岡発東京行きの貨物列車が発車直後に脱線しました。
事故の原因は、先頭の電気機関車の車軸が折損したことによるものです。具体的には、先頭車両の左側の車輪の軸が折れていたことが確認されました。

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調査と対応

    • 調査の進展: 運輸安全委員会の鉄道事故調査官は現地調査を行い、車軸の折損が脱線の原因か、脱線後に車軸が折れたのかを慎重に調査しています。
    • 緊急対応: JR貨物は、同時期に製造された車軸が組み込まれた新製車両や同形式の機関車の車軸の点検を実施しています。
JR新山口駅の貨物列車脱線事故 山陽線の運転再開はあす以降にずれ込む(KRY山口放送) - Yahoo!ニュース
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影響と復旧作業

    • 交通への影響: 山陽線の一部区間や山口線の運行が停止し、バスによる代行輸送が行われました。7/26には運転再開の見通し。
    • 復旧作業: クレーンを使用して脱線した車両を吊り上げ、壊れた台車を交換し、駅構内の別の場所に移動させる作業が行われています。

今後の対策

  • 安全対策: JR貨物は、脱線した機関車と同形式の車両全ての車軸の検査を優先的に実施し、同種車軸を搭載した機関車の点検も並行して行う予定です。

 

 

そもそも車軸とは

車軸とは、車両の左右の車輪を結ぶ棒状の部品で、車両の重量を支えつつ、左右の車輪を回転させるという大きな役割があります。

鉄道といえば車体重量が数十トンに及ぶもの。車軸に掛かる負荷も半端ないということで、一般的には折れにくく、摩耗しにくい鋼鉄製のシャフトで構成されています。

車両基地見学などに行ったことがある人は分かると思うんですが、鉄道の車輪ってまさに鉄の塊です。ゴツい車輪にゴツい鉄棒が一体化しているんです。
上の写真は南海の鉄道まつりで撮ったもの(※今回の事故とは全く関係がないです)。
台車周りって本当に鉄の塊なんです。黒光りするゴツい車軸が見えますでしょうか。

 

一般的な車軸折損の原因は

では、そんなゴツい鉄棒でも折れるのか、というと……折れるんです。過去にもいくつか折損事故が発生しています。

折れる原因としては一般的には以下のようなものがあり…

  1. 金属疲労:
    長期間の使用により、車軸の金属が繰り返しの応力に耐えられなくなり、微小な亀裂が徐々に進行して最終的に折損することがあります。
  2. 過負荷:
    設計以上の荷重がかかることで、車軸が過負荷状態になり折損することがあります。これは、急な加速やブレーキ、過剰な積載などが原因となることがあります。
  3. 製造欠陥:
    製造過程での欠陥や不完全な熱処理が原因で、車軸の強度が不足し、使用中に折損することがあります。
  4. 腐食:
    長期間の使用や環境要因(湿気、塩分など)による腐食が進行し、車軸の強度が低下して折損することがあります。
  5. メンテナンス不足:
    定期的な点検やメンテナンスが不十分である場合、車軸の早期の損傷や亀裂を発見できず、最終的に折損に至ることがあります。

ただ近年はより適切な材質の開発や構造設計の進歩、あとは保守点検の技術進歩により車軸が折れるような事故は非常に稀となっています。

ちなみに大きな事故としては、過去に東海道新幹線も同様に車軸の損傷事故が起きています。

1966年(昭和41年)4月25日 19時ごろ
東海道新幹線名古屋駅を東京にむけて出発した「ひかり42号」(新大阪駅18時00分発・0系12両編成)が、熱田付近の曲線を走行中の最後尾の台車から異常振動と火花を出していることを車掌が視認した。その後異常なく走行していたが、豊川橋梁付近のカーブ(R2500)で再び異常振動と火花を出しているのを車掌が視認したため、運転士に通報し非常ブレーキをかけ通過予定駅の豊橋駅 を400 m過ぎた地点で停止した。ここで職員が降りて確認したところ後部車両の台車の第二軸に異常があり、中央列車指令の指示で「ひかり42号」を豊橋駅の第2副本線に退行して入線し、後続の「ひかり44号」・「ひかり46号」・「ひかり48号」・「ひかり54号」の計4本を臨時停車させて42号の乗客を代替輸送した[54]。

wikipediaより

この東海道新幹線の事故では製造メーカーの不備による材質の欠陥、それによる金属疲労が原因であったことが後に判明しています。

発見が遅ければ、非常ブレーキをかけてなければ脱線転覆という大惨事が起きていた可能性あるほどだったと言われています。

 

新山口駅構内貨物列車脱線事故の原因は

でが今回の2024年7月24日に発生した山陽線新山口駅構内の貨物列車脱線事故ではどうでしょうか。

詳細については現時点では、具体的な原因は明らかにされていませんが、一般的な車軸折損の原因と同様に、金属疲労や過負荷、製造欠陥、腐食、メンテナンス不足などが考えられます。調査結果が出ることで、より詳細な原因が判明するでしょう。

少なくとも、今回の事例では機関車の脱線だけでしたが、これが例えば駅ホームの通過時や、もっと速度が出ているような区間で車軸が折れたとなれば非常に大きな事故につながった可能性があります。ホームに激突したり脱線転覆の危険もあるわけでして。

人が作るものに絶対はないと言われます。幸いにして人的被害がなかった今回のアクシデント。
今後の鉄道の安全のためにもしっかりと原因と、そしてそれを活かす方向に研究が進めばいいですよね。

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