大井川鐵道、12系客車の譲渡先を募集中!元「SLやまぐち号」車両の行方は [2025年5月19日]

画像出展:大井川鐵道
画像出展:大井川鐵道
大井川鐵道では使用していない客車の譲渡を計画しています。

対象になる客車は旧やまぐち号の12系客車及び旧型客車数両です。

旧やまぐち号の12系客車は観光列車の冷房化及び旧型客車の置き換えを目的に2018年にJR西日本から大井川鐵道に譲渡されました。
ところが、その後コロナ禍に入り、さらに土砂崩れによる大規模災害で、全線のうち約半分に当たる川根温泉笹間渡―千頭間が不通になってしまい使用できないままになっています。

車体もかなり傷んできており、部品等の盗難も発生して運行のための整備には多額の費用が見込まれることから、今回、有効活用していただける一般の皆様方へ向けて、車両本体を売却することになりました。
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の側面イラスト
のペーパークラフト作例
のペーパークラフトの完成イメージ

12系客車とは

12系客車は、1969年から1978年にかけて国鉄が製造した急行形座席客車です。
大阪万博輸送や多客臨時列車の需要に応えるため、機関車牽引による柔軟な運用を目的に開発されました。
冷房や空気ばね台車、広いシートピッチ(1580mm)など、当時の急行形電車・気動車よりも快適性が高く、最高速度110km/hの走行性能を持ちます。
さらに、床下ディーゼル発電機による冷房電源供給など、優れた機能が特徴です。現在も観光列車やイベント列車などで全国各地に活躍の場があります。



大井川鐵道の12系客車について


大井川鐵道は2018年、JR西日本から元「SLやまぐち号」用の12系客車5両(大正・明治・昭和・欧風・展望車風仕様)を譲受しました。導入の目的は、観光列車の冷房化や旧型客車の運用負荷分散でした。しかし、営業運転に使われることなく、現在まで車両基地で保管されています。

なぜ営業運転に使われなかったのか……というのは様々な要因が変わんでいまして、
例えばコロナ禍による観光需要の激減。2020年以降の新型コロナウイルス流行で観光列車の需要が大きく落ち込み、車両の投入計画が停滞しました。これはもう全国的に「外出禁止令」というようなレベルでしたからね。交通機関はほぼ空気輸送、観光地は誰もいないような状態となっていました。

また自然災害による路線不通も重くのしかかっています。2022年の台風により家山~千頭間が長期不通となり、運転再開も一部区間に限られたため、新たな車両の運用余地が失われました。

そして悲しいことに車両部品の盗難。これはニュースにもなりましたよね。
もともと長期間の留置により車体の傷みが進行している中で、部品の盗難被害も発生。営業運転に必要な整備コストが高騰し、実用化が困難になりました。

12系客車の譲渡先として考えられるパターン


そして2025年5月、大井川鐵道は、12系客車を「有効活用していただける一般の皆様方へ向けて」売却する方針を発表しました。
譲渡条件は「車両本体ごと引き取ること」「搬入・設置スペースを所有していること」で、部品取りなど一部のみの譲渡は不可としています。
価格は1両100~150万円(輸送費別)で、希望者向けに現車説明会も予定されています。

譲渡先のパターンとしては以下が考えられます。

・鉄道事業者による再活用
他の観光鉄道や保存鉄道が、観光列車やイベント車両として再整備・運用するケース。秩父鉄道やわたらせ渓谷鐵道など、12系を活用している例もあります。

・静態保存・展示
鉄道博物館や地域の観光施設、自治体などが展示目的で購入し、静態保存車両として活用するパターン。

・商業施設・店舗への転用
車両をレストランやカフェ、書庫、会議室などにリノベーションして活用する例。鉄道車両のユニークな外観を生かした集客効果が期待されます。

・個人・団体による保存
鉄道愛好家や保存団体が自費で購入し、保存・展示を行う場合も考えられます。

ただ輸送費だけでなく、かなり車体が傷んでいるので修繕費が高額となるのも大きなハードルに。
果たして譲渡先が見つかるのかどうかを含めて注目していきたいと思っています。
※ぺぱるねっとが個人的趣味で作成している二次創作・ファンアートになります。
ペーパークラフトや鉄道アイコンは非公式のものであり、各事業者等とはなんら関係がありません。

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